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パッチギにはまる [文化]

2005年の1月に封切られた井筒和幸監督の映画「パッチギ」は当年の映画賞を総なめしたが、わたしはこの映画を去年まで知らなかった。ちょうどそのころ病気の発症などであたふたしていたころだった。ヤフーで無料配信されているものを見て、見事にはまった。井筒監督の狙い通り、公介の歌うイムジン河に乱闘・桃子の出産、キョンジャの行動が交錯するシーンで、なんど見ても泣いてしまう。監督の術策にはまるようで悔しいが涙がでる。
従来井筒監督の映画はそれほど好きではなかったが。この映画はよく出来ている。もっとも優れたところは、エンターテイメントとしても、メッセージとしても成立しているところだ。とりわけどちらが難しいかといわれれば実はエンターテイメントの方が難しいのだろうが。
小説と違う映画の楽しみの一つに、日常で見られない場面を見られることがある。ハリウッドではそのために莫大な費用を使うが、人の手でバスをひっくり返す、チマチョゴリのスケ番、白衣の看護師のとび蹴り、見事に頭にヒットするとび蹴り、これでいいのだ。OXの失神シーンで幕をあけ、そして1968年代を見事に再現している衣装。実は時代劇より収集は困難だったのではなかろうか。あああの時代はこんなものを着ていたと思いだす。音楽を任された加藤和彦も力が入っている。チェドキの葬式で流れる朝鮮民謡のように編曲された「イムジン河」、出産のシーンの際の挿入曲も美しい。加藤はキャバレーのシーンで流れるバックミュージックまで書き下ろした。「パッチギマンボ」という曲らしい。そして若い俳優さんたちもいい。普通こうした青春映画では脇のベテランが画面を締めるのだが、その必要がないほど好演している。この映画はこうしたエンターテイメントとしての部分とメッセージの二重構造になっている。ちょうど「パッチギ」が「頭突き」と「乗り越える」という多義であるように。イゴ パッチギヤ。

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タグ:パッチギ
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